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旅行業登録

旅行業登録の要件・申請手続を行政書士が解説

制度情報の最終確認日:2026年8月5日

本記事は全国共通の制度概要です。登録の要否、必要書類、手数料、事前相談および審査運用は、事業内容と管轄行政庁により異なります。

旅行ツアーの企画・販売、宿泊施設や交通機関の手配などを事業として行う場合、旅行業法に基づく登録が必要になることがあります。もっとも、必要な登録は事業内容によって異なり、第1種・第2種・第3種・地域限定旅行業のほか、旅行業者代理業や旅行サービス手配業に該当する可能性もあります。本記事では、これから旅行関連事業を始める方に向けて、登録区分の考え方、主な登録要件、申請から営業開始までの流れ、登録後の手続を行政書士の視点から丁寧に説明します。

最初にご確認ください

旅行業登録の要否は、名称ではなく、実際に誰から依頼を受け、誰のために、どのサービスを、どのような契約と報酬で取り扱うかによって判断されます。申請先ごとに提出書類や事前相談の運用も異なるため、事業開始前に管轄行政庁へ確認することが重要です。

1.旅行業登録とは

旅行業法は、旅行業等を営む者について登録制度を設け、旅行取引の公正、旅行の安全および旅行者の利便を確保することを目的としています。報酬を得て、旅行者または旅行業者のために、法令で定められた旅行業務を事業として行う場合は、原則として旅行業等の登録が必要です。

典型例として、旅行者を募集して交通・宿泊を組み合わせたツアーを実施する場合、旅行者の依頼を受けて航空券やホテルを手配する場合、旅行業者から委託を受けて一定の旅行サービスを手配する場合などがあります。ただし、自社施設だけを予約販売する場合や、報酬性・事業性がない場合など、事実関係によって結論が異なることがあります。

登録を検討すべき主なケース

  • 日帰りバスツアーを企画し、一般の参加者を募集する
  • 宿泊、交通、体験プログラムなどを組み合わせて販売する
  • 顧客の依頼によりホテル、旅館、鉄道、航空券などを手配する
  • 社員旅行、視察旅行、スポーツ遠征、留学などの旅行計画を作成・手配する
  • 海外の旅行会社から依頼を受け、日本国内の宿泊や交通を手配する
  • 観光協会、DMO、宿泊施設、イベント会社などが旅行商品を造成・販売する

無登録営業を避けるために確認すること

『旅行会社と名乗らなければ登録不要』『手数料を別に請求しなければ問題ない』とは限りません。旅行代金全体に利益が含まれる場合、他のサービス料金に手配の対価が含まれる場合なども含め、実質的な取引内容を確認する必要があります。企画段階で、契約関係、代金の流れ、広告表示、キャンセル時の責任を図にして整理すると判断しやすくなります。

2.旅行業の登録区分

旅行業者等は、取り扱う業務の範囲によって区分されます。登録区分は、将来行うかもしれない事業ではなく、実際の事業計画、対象地域、国内・海外の別、募集型企画旅行を行うかなどを基に選びます。

参考:区分・登録制度の一次資料:観光庁『旅行業法概要』

旅行業の登録区分比較
区分 主な業務範囲 主な登録行政庁
第1種旅行業国内・海外を含む幅広い旅行業務。海外の募集型企画旅行を実施する場合に必要観光庁長官
第2種旅行業海外の募集型企画旅行を除く旅行業務。国内募集型企画旅行を広く実施可能主たる営業所所在地の都道府県知事
第3種旅行業受注型企画旅行・手配旅行等に加え、一定区域内で国内募集型企画旅行を実施可能主たる営業所所在地の都道府県知事
地域限定旅行業拠点区域とその周辺の限定された範囲で旅行商品を取り扱う小規模・地域密着型の区分主たる営業所所在地の都道府県知事
旅行業者代理業所属旅行業者から委託された範囲の旅行業務を代理して取り扱う主たる営業所所在地の都道府県知事
旅行サービス手配業旅行業者のために、宿泊・運送等の旅行サービスを手配する、いわゆるランドオペレーター業務主たる営業所所在地の都道府県知事

区分選択のポイント

海外旅行を扱うという理由だけで、直ちに第1種が必要になるわけではありません。海外の募集型企画旅行を自社で企画・募集するのか、顧客の注文に応じて企画するのか、単に手配するのかによって必要区分が変わります。

3.企画旅行と手配旅行の違い

募集型企画旅行

旅行業者があらかじめ旅行の目的地、日程、運送・宿泊サービス、旅行代金などを定め、広告等によって参加者を募集する旅行です。一般にパッケージツアーや募集ツアーと呼ばれるものが該当します。海外募集型企画旅行を実施できるのは第1種であり、国内募集型企画旅行は区分に応じた範囲で行います。

受注型企画旅行

旅行者からの依頼を受け、希望する目的地、日程、予算などに沿って旅行計画を作成する旅行です。社員旅行、学校旅行、団体旅行、視察旅行などが典型例です。募集型と異なり、不特定の参加者をあらかじめ募集するものではありません。

手配旅行

旅行者の委託を受け、宿泊施設、交通機関などのサービスを手配する契約です。旅行業者が自ら旅行全体を企画するのではなく、旅行者の希望に応じて必要なサービスを手配する点が特徴です。実際の契約がどの類型に当たるかは、広告文だけでなく契約内容全体から判断します。

4.旅行業登録の主な要件

(1)欠格事由に該当しないこと

申請者、法人の役員等が、旅行業法に定める欠格事由に該当しないことが必要です。過去の登録取消し、一定の刑罰、破産手続と復権の状況、暴力団員等による事業支配などが審査対象になります。申請時には誓約書や役員関係書類などを提出します。

(2)財産的基礎を満たすこと

旅行業では、登録区分に応じた基準資産額を確保しなければなりません。一般に、資産総額から負債総額、営業保証金等を控除するなど、旅行業法施行規則に基づく方法で算定します。単純に預金残高や資本金だけを見て判断するものではありません。

登録区分別の基準資産額
登録区分 基準資産額(2026年8月5日現在)
第1種3,000万円以上
第2種700万円以上
第3種300万円以上
地域限定100万円以上

上表は記事確認日時点の制度概要です。設立直後の法人、増資を予定している法人、直近決算が債務超過の法人などは、どの時点の資料でどのように算定するかを申請先へ事前に確認してください。

(3)旅行業務取扱管理者を選任すること

旅行業者または旅行業者代理業者は、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。管理者は、取引条件、旅行サービス提供の確実性、旅行の安全、旅行者の利便などに関する業務を管理・監督します。海外旅行を取り扱う営業所では総合旅行業務取扱管理者が必要です。国内のみの場合は、業務範囲に応じて国内または地域限定の資格者を選任できる場合があります。

名義だけを借りる選任は認められません。勤務実態、他営業所との兼務、他社との兼職、常勤性などは重要な確認事項です。管理者が欠けた場合、その営業所では新たな管理者を選任するまで旅行業務に関する契約を締結できないため、退職等に備えた体制も必要です。

参考:管理者制度の一次資料:観光庁『旅行業務取扱管理者』

(4)営業所を確保すること

申請する営業所について、使用権限と旅行業務を適切に行える実態が必要です。賃貸物件では、賃貸借契約上の使用目的、転貸の有無、法人名義との関係などを確認します。自宅、シェアオフィス、レンタルオフィス等が認められるかは、独立性、表示、来客対応、書類管理等を含めて申請先の運用確認が必要です。

(5)法人の目的に旅行業を記載すること

法人で申請する場合、定款および登記事項証明書の目的欄に、旅行業を営むことが読み取れる事業目的が必要です。新会社を設立する場合は、設立後に目的変更をしなくて済むよう、予定する業務範囲を踏まえて文言を検討します。

5.営業保証金と旅行業協会

旅行業者は、旅行者保護のため、原則として営業保証金を供託しなければなりません。最低額は登録区分および前事業年度の旅行者との取引額によって異なります。新規登録で取引額がない場合の基本的な最低額の例は、第1種7,000万円、第2種1,100万円、第3種300万円、地域限定15万円ですが、地域限定は取引見込額等により増額する場合があります。実額は申請時点の法令と個別条件で確認してください。

日本旅行業協会(JATA)または全国旅行業協会(ANTA)の保証社員となる場合、営業保証金の供託に代えて、原則として営業保証金の5分の1相当額の弁済業務保証金分担金を納付する制度を利用できます。ただし、協会加入には入会審査、入会金、会費等があるため、保証金だけでなく初期費用全体と加入スケジュールを比較する必要があります。

参考:保証制度の一次資料:観光庁『旅行業法概要』

営業開始時期に注意

登録通知を受けただけで直ちに営業を開始できるとは限りません。営業保証金の供託または旅行業協会への弁済業務保証金分担金の納付等を行い、所定の届出を済ませてから営業を開始します。

6.旅行業登録申請の流れ

  1. 事業内容を整理する:販売する商品、契約相手、対象地域、国内・海外の別、代金の流れを明確にします。
  2. 登録区分を判定する:募集型・受注型・手配旅行の別と取扱範囲から必要区分を選びます。
  3. 登録要件を確認する:欠格事由、基準資産額、管理者、営業所、定款目的等を確認します。
  4. 管轄行政庁へ事前相談する:申請先独自の様式、提出部数、予約の要否、審査期間を確認します。
  5. 必要書類を収集・作成する:申請書、事業計画、組織概要、財産関係、役員・管理者・営業所関係等を整えます。
  6. 登録申請を行う:登録手数料を納付し、窓口・郵送・電子申請など指定された方法で提出します。
  7. 審査・補正に対応する:追加説明や差替えを求められた場合は速やかに対応します。
  8. 登録通知後の保証手続を行う:営業保証金または弁済業務保証金分担金の手続をします。
  9. 営業開始の準備を完了する:標識、約款、取扱料金、取引条件説明書面、契約書面、社内管理体制などを整備します。

7.主な必要書類

具体的な必要書類は登録区分、法人・個人の別、申請先によって異なりますが、一般的には次のような資料を準備します。

  • 新規登録申請書
  • 定款および登記事項証明書(法人の場合)
  • 役員等の宣誓書、履歴書その他の本人関係書類
  • 旅行業務に係る事業計画・組織概要
  • 直近の貸借対照表、損益計算書、確定申告書類等
  • 基準資産額を算定する書類
  • 預金残高証明書等
  • 旅行業務取扱管理者の合格証・選任関係書類
  • 営業所の使用権限を示す賃貸借契約書等
  • 営業所の案内図、平面図、写真
  • 事故処理・苦情処理等の体制に関する書類
  • 標準旅行業約款を使用しない場合の約款認可関係書類

証明書類には発行後の有効期間が定められている場合があります。早く取得しすぎると再取得になるため、事前相談後に取得順序を決めると効率的です。

8.登録後に整備する事項

  • 営業所への登録票等の掲示
  • 旅行業務取扱料金の掲示
  • 旅行業約款の掲示・備置き
  • 広告への登録番号、名称等の適切な表示
  • 取引条件説明書面・契約書面の交付体制
  • 旅行業務取扱管理者による管理・監督
  • 旅程管理、安全管理、事故・苦情処理体制
  • 取引額の把握と営業保証金等の管理
  • 管理者研修その他法定研修への対応
  • 個人情報、決済情報等の安全管理

9.更新・変更・廃業の手続

旅行業登録の有効期間は5年です。継続して営業する場合は期限までに更新登録を申請します。また、登録後に商号、所在地、代表者、役員、営業所、旅行業務取扱管理者等を変更した場合は、変更内容に応じて変更登録または変更届等が必要です。国内募集型企画旅行の取扱区域を変える場合など、業務範囲に関係する変更は特に注意が必要です。

更新や変更を放置すると、営業継続に支障が生じるおそれがあります。登録通知書だけで管理せず、更新期限、役員変更、管理者研修時期などを一覧化しておくことをおすすめします。廃業時にも廃止届、営業保証金の取戻し等の手続が必要です。

参考:更新・変更の根拠:e-Gov法令検索『旅行業法』

10.旅行サービス手配業との違い

旅行サービス手配業は、報酬を得て、旅行業者のために運送・宿泊等のサービスを手配する事業で、いわゆるランドオペレーターが代表例です。旅行者と直接旅行契約を締結して旅行商品を販売する旅行業とは、依頼者と業務内容が異なります。営業所ごとに旅行サービス手配業務取扱管理者を選任するなど、独自の要件があります。

インバウンド事業では、海外旅行会社から依頼を受けて国内のホテル、バス、通訳案内等を手配するケースがあります。海外事業者との契約であっても、日本国内で行う事業内容によって登録が問題となるため、取引開始前の確認が必要です。

11.行政書士に依頼できること

行政書士は、旅行業登録に関する事業内容の整理、登録区分の検討、要件確認、申請書類の作成、添付書類の案内、行政庁との事前相談・補正対応等を支援します。会社設立前であれば、定款目的、役員構成、営業所、管理者確保、資金計画を登録手続と一体で検討することが重要です。

  • 旅行業登録が必要かどうかの事前整理
  • 第1種・第2種・第3種・地域限定等の区分検討
  • 基準資産額の事前確認
  • 旅行業務取扱管理者・営業所要件の確認
  • 申請書、事業計画その他添付書類の作成
  • 管轄行政庁への事前相談および補正対応
  • 更新登録、変更登録、各種変更届の支援
  • 旅行サービス手配業登録の支援

12.よくある質問

Q1.インターネットだけで旅行商品を販売する場合も登録が必要ですか。

店舗を設けずオンラインで販売する場合でも、実際に行う行為が旅行業に該当すれば登録が必要です。ウェブサイトの運営場所と営業所要件、契約主体、決済主体、広告表示なども確認します。

Q2.旅行業務取扱管理者の資格を持っていれば、すぐに旅行業を始められますか。

資格者がいるだけでは営業できません。事業者として旅行業登録を受け、財産的基礎、営業所その他の要件を満たし、登録後の保証手続等を完了する必要があります。

Q3.自宅を営業所にできますか。

直ちに不可とは限りませんが、使用権限、居住部分との区分、標識掲示、来客対応、書類保管、賃貸借契約・管理規約等の確認が必要です。申請先に図面や写真を示して事前相談するのが安全です。

Q4.登録までどのくらいかかりますか。

登録区分、申請先、事前相談の予約状況、書類準備、協会加入の有無などで異なります。法人設立、増資、管理者採用、営業所契約が必要な場合は準備期間が長くなります。開業希望日から逆算し、余裕を持って着手してください。

Q5.旅行業協会には必ず加入しなければなりませんか。

加入は必須ではありません。加入しない場合は営業保証金を供託します。加入する場合は弁済業務保証金分担金制度を利用できますが、入会審査、入会金、会費等も含めて比較します。

13.まとめ

旅行業登録では、最初の事業設計が重要です。扱いたい旅行商品だけでなく、誰と契約し、誰から代金を受け取り、どの地域・方法で募集し、誰が旅行サービスの提供責任を負うのかを明確にすることで、必要な登録区分が見えてきます。

登録区分を誤ると、予定していた商品を販売できない、財産要件を満たせない、管理者資格が業務範囲に対応しないなどの問題が生じます。旅行関連事業を計画している方は、会社設立、ウェブサイト制作、広告開始、予約受付を進める前に、登録の要否と要件をご確認ください。

旅行業登録についてご相談ください

カルディア行政事務所では、旅行業登録、更新・変更手続、旅行サービス手配業登録に関するご相談を承っています。事業内容がまだ固まっていない段階でも、予定するサービスと取引の流れを伺い、必要な手続を整理します。

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